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友人に捧げた入門者向け本部シリーズ。短編です。
全20話で、全員分の日常が綴れたので、こちらにも上げておきます。

羽織、崎原編。

※篝祇亜須磨
次は、羽織さんの部屋だ。
ドアをノックすると、勢いよくドアが引かれた。
「亜須磨じゃないですか!暇なんで来てくださいよ!」
羽織さんにそのまま部屋に引き込まれてしまった。
奥にいた崎原さんが、困ったように笑う。
「羽織さん、どうしたんですか?」
「いやー、だって何もないって暇なんですもの!話し相手にでもなって下さいよ!」
「は、話すことありますか……?」
「いいよ、亜須磨。羽織に無理に付き合わなくて」
崎原さんが羽織さんの頭を叩く。
パシッとなかなかいい音がしたけど、大丈夫だろうか。
「こうすれば黙るから、ね」
「だったら、この暇な感じはどうすればいいってんですか!ようやくの客人ですよ!」
「あんた散々遊びに行ってたでしょうが」
「だって、俺街に出たら逃げられるんですもん!」
あまり話をしたくないが、一応しよう。
羽織さんと崎原さんは辻斬りだ。
ここに来る前は真夜中に人を斬り殺していた大量殺人犯。
人が変わったかのように人の血を求める殺人衝動を持っている。
ここに来ればその殺人衝動がなくなるかもしれないという希望で入ったらしいが、それは消えることなくむしろ利用出来るようにコントロールしてしまったのだ。
コントロール出来るようになったと言っても、殺人衝動が消えたわけではない。
街の人はそれを恐れて彼らを避けているのだ。
「もう人なんて斬れるわけないってのに……」
頬を膨らませて羽織さんが呟く。
構ってほしいという本心にも聞こえる。
「それで、ずっと何をしてたんですか?」
「羽織はいろんな人の所に行ってたみたいですよ。俺は、ずっとここで茶を啜ってたけどね」
「でも、みんな構ってくれないんすよー!意味わかんないですよね!」
……羽織さんが煩すぎるのが原因じゃないかなぁ。
よく喋るのに言葉使いがあまり乱れない。
変にすごい人だ。
崎原さんがまた羽織さんを叩いて黙らせる。
そして俺に質問する。
「亜須磨、本当は用があったんじゃないの?」
「はい。白河さんから伝言です。明日12時までにラウンジに集合です。」
「はーい」
頭を抑えながら、羽織さんが返事をする。
「それと、その箱宮代さんのお菓子入ってたんじゃない?さっき羽織に揺らされてたけど大丈夫?」
「えええええっ!?」
羽織さんが急接近して箱を奪う。
「これ誰の!?」
「氷河さんのですけど」
「やっばい!」
焦って箱を開ける羽織さん。
幸いにも形は崩れていなかったようだ。
「よかったぁー……。殺されるかと思いましたよー……」
安心して一息つく羽織さん。
羽織さんも氷河さんに大きな借りを持っている人だ。
頭が上がらないんだろう。
「ごめん、亜須磨。久しぶりの構ってくれる人だったから、嬉しくてついはしゃぎすぎてしまいました……」
「大丈夫ですよ、羽織さん」
すっかり沈みきってしまった羽織さん。
浮き沈みの激しい人だから、こういう時に扱いに困る。
「じゃ、俺は行きますね」
「うん、また遊んでくださいねー」
力なく手を振る羽織さんと別れた。
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