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友人に捧げた入門者向け本部シリーズ。短編です。
全20話で、全員分の日常が綴れたので、こちらにも上げておきます。

神谷、杜矢編。

※篝祇亜須磨
次は、魔族のハーフである神谷さんの部屋だ。
人でないが故に嫌われていて、人でないが故に長命。
なのに、生きていた分を全て無駄に過ごしていたかのように何も知らない人であるが。
神谷さんとよく一緒にいる杜矢さんが知識人だからバランスはとれている、のかな。
軽くノックをしてから部屋に入る。
「ん、亜須磨やないか」
「どうしました?」
神谷さんと杜矢さんの二人が同時に声をかける。
杜矢さんはなにやら券をたくさん手にしている。
「……何してたんですか?」
「ん、聞いちゃいますか?」
杜矢さんが急に機嫌よくなる。
自慢気に券を見せびらかしながら、語り始めた。
「これはですね、街で開催していたの魔物同士の決闘大会の優勝者をかけた券です。」
「ようは某有名ゲームモンスターズの闘技場みたいなやつやな」
「これで僕のかけた大穴が当たりましてね!明日、金と引き換えに行く予定なんですよ」
こんなに機嫌のいい杜矢さんなんて滅多に見ないぞ。
いつも冷静な人だから、ギャップになかなか慣れない。
「ったく、当たるからええけどさ、それ外したらどないするつもりやったんや?」
「外したら、あー悔しかった。で終わりですよ」
「金賭けてんのに、ようそんなあっさりしめられるな!?」
「まぁ、はした金ですからね。そんな馬鹿じゃないんですから財産全額ベットなんかしませんよ」
「え、そうなん?」
神谷さんがきょとんとする。
機嫌のいい杜矢さんは勝利券で仰ぎながら、けらけらと笑う。
「やだなぁ、ギャンブルに全額ベットする阿呆なんていませんよ。」
「え……嘘やん?」
「え、もしかして、全額賭けて負けたことあるんですか?」
杜矢さんの手の動きが止まる。
「……ある。それからギャンブル苦手になったもん」
神谷さんは小声で答えた。
杜矢さんと二人で神谷さんを見やる。
この部屋の時が凍りつく。
時を動かしたのは、杜矢さんの深いため息だ。
「この人の知識のなさには今更驚かないと思ってたんですけどね……。まさかここまでひどいとは……」
杜矢さんがついに頭を抱えてしまった。
勝利券は絶対に離さないけど。
「いや、だってギャンブルってそういうもんやと思ったからさぁ!」
「だからってホントに賭けるバカいますか!?」
「だってぇ……なぁ?」
「いや、俺を見ないでください」
俺に助けを求められても困る。
フォローなんか出来ないから。
「それ、いつの話ですか?まさか僕があんたを匿ってる時じゃないですよね?」
「上月に助けてもらう前やって!」
「はぁ……それならまぁ、いいですけど……。」
神谷さんは人に嫌われるが故に、居場所がなく点々としていたらしい。
それを途中から匿ったのが杜矢さんだそうだ。
彼も故郷の町からは嫌われていたらしいので、特に問題はなかったと言っていたが、嫌われていた時点で問題があったんじゃないかと俺は思う。
「あ、白河さんから伝言です。明日、12時までにラウンジに集合だそうです。」
「12時ですね?分かりました。」
杜矢さんが軽くうなずいてから、神谷さんに指をさす。
「神谷さん、正座!」
「なんでや!?」
「今日は、たっぷり説教しますよ!ギャンブルの危険性について理解してもらわんと、眠れないから!」
これは長くなりそうなので、逃げ出すことにした。
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