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友人に捧げた入門者向け本部シリーズ。短編です。
全20話で、全員分の日常が綴れたので、こちらにも上げておきます。

榎本、瀬戸、天城、大浦編。

※篝祇亜須磨
次は、氷河さんの部屋だ。
氷河さんはヒロインとして、いろんな人に絡まれている。
魔物討伐の依頼がない今、氷河さんは治癒術を使わずに済んでいる。
治癒術を使う時、彼はとても辛そうだから、見ていたくなかったし。
それに安心しつつ、部屋に向かう。
部屋に入る前から賑やかな声が聞こえる。
「よっしゃー!じゃあ、赤ね、赤!」
「ふざけんなよ、恭二。俺持ってないんだけど!」
「芳示、引いたね?じゃ、スキップ」
「はぁ!?」
この部屋には入りたくないなぁ。
俺も巻き込まれそう。
だけど、氷河さんに渡すものが多いから入るしかない。
ノックをしてから、部屋に入る。
入ると、四人で囲んでカードゲームをしていた。
「あっすまー!」
恭二さんが俺に気付いて大声で呼ぶ。
本部の中でも特に煩い人だからな、彼は。
「なにしてんですか」
「UNOだよ!ほらほら、懐かしくね?」
「懐かしいですけど」
UNOのカードを見せびらかす恭二さん。
芳示さんが氷河さんの肩の叩いて、笑う。
「これがまた面白いんだよ。氷河が壊滅的に弱くてさ」
「うるせぇな!まだ3敗しかしてねぇっつの!」
苛立たしげに芳示さんの手を振り払う氷河さん。
「3敗ってもう十分負けてますね……。」
「亜須磨まで!いいか、見てろよここからの大逆転!」
「無理だって氷河」
丙さんまでも氷河さんの弱さに笑ってしまっている。
「じゃあ、次俺?」
「待った」
恭二さんがカードを出そうとすると、氷河さんが止めた。
立ち上がって、カードを床に置く。
「亜須磨、用があってきたんだろ?」
「あ、怪我人の話じゃないです。白河さんからの伝言です」
「伝言?」
意外そうな表情をしている。
氷河さんが呼ばれる時は治癒術師として呼ばれるのがほとんどだからな。
「明日、12時までにラウンジ集合だそうですよ」
それを聞いた瞬間に恭二さんが、驚いて叫んだ。
「ええええええええ!12時!?俺、無理だって!起きる時間だし!」
「大丈夫だって、恭二。たたき起こすから」
そう言った氷河さんの目が全く笑っていないんだけど。
だが、恭二さんは聞かずに駄々をこねる。
「やーだー、俺もっとねたーい」
芳示さんがわざとらしくにやりと笑う。
「ほほう、白河さんのやり方なら遅刻者は斬られるぞ?恭二が斬られたら間違いなく氷河の負担が増えるだけだけどな?」
「あー、それは嫌だ!」
「じゃ、ちゃんと12時までにラウンジに来いよ?」
「わーかってるって!」
恭二さんがカードを場に出す。
「あ、氷河さんにはこれも渡さないと。」
「ん?」
小浜さんと宮代さんに頼まれていたものを渡す。
新作の茶葉と献上品のチーズケーキ。
受け取った氷河さんは、照れくさそうに笑った。
「ほんと、小浜さんと宮代さんには敵わないな。」
「小浜さんからは新作の味見の依頼、宮代さんからは献上品のチーズケーキだそうですよ。」
二つをまとめた袋を机に置く氷河さん。
置いてからため息をつく。
「小浜さんには今度、俺コーヒー派だって言わなきゃな。」
「飲めないわけではないんですよね?」
聞いてみると、ちゃんと答えてくれる氷河さん。
「そりゃ嫌いってわけじゃねぇけどさ……何も入れない紅茶ってあんまうまくねぇんだよな」
「入れたらいいんじゃないですか?」
「ミルクとか砂糖は甘くなるだろ。コーヒーもブラック派だしな、俺。」
「はぁ……めんどくさいですね。」
思わず言葉に出てしまった。
「まぁ、誰にでもあるもんだろ、こういうこだわりはさ」
「ありますけど、氷河さんには一際めんどくさいです」
俺がきっぱり言うと、恭二さんと芳示さんが笑い出した。
「亜須磨、よく言った!」
「まぁ、氷河のめんどくささは家が原因だからな!しょうがないっちゃしょうがない!」
俺は、氷河さんの家の話はあまり聞いたことがない。
どこかの小さな貴族だったらしいけど……。
「……不治の病として放置されたかのような難病かよ」
氷河さんがまた座ってカードを手に取る。
「そろそろ行きますね。」
「ああ、また明日な」
「ちゃんと恭二さん連れてきてくださいよ?俺も怒られそうなので」
「大丈夫だってば!じゃあな、あすま!」
賑やかな人たちの部屋を出る。
ドアを閉めてもすぐに聞こえる賑やかしさ。
「はいよ」
「じゃ、リバース」
「ドローツー」
「俺も俺も!」
「死ね!」
俺がため息をついてしまった。
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