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エリュシオンの7話です。

※篝祇 亜須磨
エルを部屋においてから、俺は夜月を探し始めた。
夜月は、唯一の幼なじみだ。
あいつを安心させなきゃ、俺は出ていけないんだ。

夜月のいる場所なんか、分かっている。
星空の見えるベランダ。
ベランダなんて目的であるものじゃないが、星空が好きな夜月は決まってここにいた。
夜月はベンチに座って星空を見上げていた。
「夜月。」
「亜須磨…。」
声をかけると振り向かないまま、くすりと笑った。
「亜須磨はいつも僕を見つけるね。」
「夜月は分かりやすいんだ。」
夜月の隣に座る。
今日は半月だ。
「君は本当にエリュシオンに行くのか?」
夜月が聞いてきた。
俺は月を見たまま答える。
「ああ。行くよ。」
「どうして!?」
夜月は俺の顔を向けさせる。
「行きたいんだよ。エリュシオンに。」
「僕は君を心配しているんだ、分かるだろう?君が死んだら僕は一人きりだ…。」
夜月は力なく俯く。
表情は見えないが、きっと寂しそうな表情でもしているのだろう。
「大丈夫だ。なんとかなる。」
「どうしてそんなことが言えるんだよ…亜須磨は…」
夜月の頭を撫でる。
「お前がいるからだよ。ほっとけない。」
「馬鹿だよな、亜須磨は。」
夜月は再び星空を見上げる。
「あの楽園は、僕らの望んだ楽園ではない。僕は…あそこは魔物の巣だとしか思えない。」
「その見方を変えるきっかけになるんだ。エルは。」
「そうだといいな。」
夜月は立ち上がる。
目元を拭っていた。
夜月の表情は見ないようにしていたが、やはり泣いてたのだろう。
「さて、僕は亜須磨の為にエリュシオンについて調べる事にするよ。」
「ああ、頼むよ。」
「任せてくれ。」
夜月は、中に入る。
俺はぼんやりと星空を見つめていたかったが、エルを忘れるといけないので、戻る事にした。
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