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エリュシオンの9話です。

※篝祇 亜須磨
「とりあえず明日は街にいこう。」
「街ですか…。」
エルと明日の話をしていた。
エリュシオン近くは、魔物に荒らされた荒野が広がるばかりで、街と呼べるものは一つしかない。
それでも、唯一の街は情報収集にはもってこいの場所だ。
「ただもう『人狩り』だからな…。街も安全とは思えない。白河さんを信じるしかないな。」
「あの…『人狩り』とは何ですか?」
エルがおずおずと手を挙げる。
その必要はないんだけどな。
「エリュシオンに住む魔物たちが、人間を殺し尽くす時期だ。何故か定期的で半年に一度魔物たちが大量にやってくる。だからそのたびに俺たちが街を守るんだ。」
一通り話すと、エルが真剣な表情をしていた。
そして呟く声が聞こえた。
「死を集めているのか…しかもそんな長い周期で…。」
「エル?」
「あ、すみません!」
俺が名前を呼ぶと、エルはとっさに謝る。
「『人狩り』に秘密があるのか?」
「あ、はい。エリュシオンは、死が欲しいんだと思います。」
「死が…?」
死なんて抽象的ではないか?
エルはさらに続ける。
「死は今のエリュシオンが維持するための力です。だから、人間を大量に殺すんです。」
さらに分からない。
夜月に報告するか…?
俺が頭を抱えてる様を見て、エルはわたわたと謝る。
「あ、ごめんなさい。一気に話しすぎましたか?」
「大丈夫だよ。今の話を報告していいか?」
「はい。どうぞ。僕、待ってますよ。」
エルは先に言わんとする事まで分かるようだ。
さすがに分かりやすすぎるかな。
隊員の行動なんて単純だ。
「悪い、そこのベッドで寝ていいからな。」
「え、亜須磨のベッドじゃないですか…?」
「いいから。もう夜も遅い。エルは寝なよ。電気消すぞ。」
エルが、「ちょっと…え…?」と戸惑ってる間に電気を消す。
すぐに、コンピュータールームへと向かう。
 
コンピュータールームに入ると、柊さんと尖宮さんがいた。
「亜須磨君!?どうしたの?」
尖宮さんが、驚き声をかける。
「エルが『人狩り』について話してくれました。」
「『人狩り』か…聞く。依鶴、コーヒー入れろ。」
柊さんが振り返り、俺を見る。
尖宮さんは、俺の分まで用意してくれようとしていた。
「あの…夜月は?」
「まだ戻ってないよ。心配?」
「いや、気になっただけです。」
尖宮さんは、柊さんと俺にコーヒーを渡す。
一口飲んで落ち着いた所で話す事にした。
「エルが言うには、死を集めているのだそうです。死はエリュシオンの力になるそうです。」
「死だって?変な話じゃないか…。」
尖宮さんは、初めて俺が聞いたときと似た反応をする。
柊さんは、苦い顔をするだけだ。
「ますます人を殺せなくなったな…。完全防衛する作戦を考えなきゃな。」
柊さんは、コンピューター内の作戦を全て消していた。
その作業をしながら俺に言う。
「亜須磨、お前は明日街にでも行くだろう。早く寝な。」
「はい、失礼します。」
おとなしくコンピュータールームを出る。

戻る途中で白河さんが俺を呼んだ。
「明日、早朝に皆を集める。他の奴らにはもう言ってあるからな。」
「はい。分かりました。」
白河さんはそのまま戻っていった。
あの…今、夜中なんですけど。

部屋に戻るとエルはすっかり寝ていた。
俺は床で横になった。
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