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友人に捧げた短編集。
今回は、ハーレムをテーマに書いてみました。

千歳雄利編。

※瀬戸氷河
賞金稼ぎ。
俺たち、本部と対立する魔物を討伐する組織だ。
彼らは軍部から指定された魔物を狩り、報奨金を得るのが目的だ。
度々俺たちと鉢合わせてはどちらが先に倒すかもめている。
いいライバル関係だとは思っている。
そのメンバーの奈々峰松里と千歳雄利がウィンドウショッピングを楽しんでいた。
一昨日は、そこにゾンビがいたんだけどな。
別に親しいわけでもないので、通り過ぎようとしたが千歳の方から声をかけられた。
「あ!氷河さんだ!」
「ん?ほんとだ」
千歳の声で気付いた奈々峰もゆっくりと振り返り、だるそうに言った。
「なに、今日はオフなんだけど」
「俺だってオフなんだけど」
奈々峰と俺で睨みあう。
雄利が間に入ってまぁまぁと宥める。
「松里、今日はオフなんだから取り合いとか考えるのやめようよ」
「んー、そうだね。えっと――氷河だっけ?暇なら付き合ってくんない?」
「はぁ?」
奈々峰が手荷物をアピールするように、見せつける。
「ほら、ちょっとこの店の服みたいんだけど、荷物あっちゃ邪魔じゃん?」
「ようするに荷物持ちかよ」
「暇でしょ?」
「はぁ……分かったよ」
奈々峰の荷物を受け取る。
奈々峰はにやりと笑い、じゃよろしく~と手を軽く振って店に入って行った。
千歳の荷物も受け取ろうとしたが、千歳は首を振った。
「いえ、氷河さんに悪いですよ」
「気にすんなって、あんな横暴な女もいるんだから」
「松里は悪い人じゃないんですよ……」
千歳は愛想笑いをする。
というか、奈々峰についていかなくていいのだろうか。
一緒に服を買いに来たんじゃないのだろうか。
「お前はいいのか?」
「ここは松里が好きなお店なんです。私には似合わない服ばっかりなので……」
「そういうもんなのか……」
「それに氷河さんとも一度お話してみたかったんですよ」
千歳が俺の方を見る。
「氷河さん、私たち、協力の道はないのでしょうか?」
「協力?」
「ええ。私たちの目的は同じでしょう?魔物を倒し、人々の平和を守ることですよね?それでしたら、いつもいつもいがみ合うんじゃなくて、協力するという道とあると思うのですよ」
賞金稼ぎからそんな言葉が出てくるとは思わなかった。
彼女は組織の中で一番の良識人なのだろう。
賞金稼ぎの連中も変わり者ばかりだったからな。
そんな中の彼女の言葉は、よく聞こえる。
けれど、聞こえがいいだけだ。
「そりゃ、甘い考えだ」
「え?」
「そうやって慣れあって協力してるだけじゃ、進まないことだってあるんだよ。俺個人の意見だけど、お前らはいいライバルだと思ってるぜ?」
「ライバル……ですか」
きょとんした反応を見せる千歳。
「切磋琢磨し合った方が成長につながるっていうだろ。分かんないなら、経済学から勉強し直せ。特に資本主義のとこな」
「途中から何言ってるんだかさっぱりですけどー……」
「じゃ、言い換えてやるよ。強い奴がいるから、それを超えようと思えるんだ。そうやって強くなるのが一番の近道だと俺は思うぜ。まぁ茨の道だけどな」
「へぇー……」
だんだんと感心したように頷く千歳。
なんだか真面目な人だ。
俺の周りには雑な奴しかいねぇから、新鮮だ。
「そういう考え方もあるのですね。ありがとうございます。氷河さん」
「いいって、気にすんなよ」
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