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友人に捧げた短編集。
今回は、ハーレムをテーマに書いてみました。

奈々峰松里編。

※瀬戸氷河
千歳と一通り話終わった後、ようやく奈々峰が店から出てきた。
また服の入った袋を持って。
「待たせたわねー、ありがとー!」
奈々峰が俺から荷物を奪い取る。
魔物と戦ってるだけはあって、力はあるようだ。
「ってか、雄利入らないなんてずるいでしょー」
「だって、氷河さんだけ待たせるのは悪いじゃない?」
「大丈夫よ!――ねぇ?」
「……別に一人でも待ってたよ」
奈々峰が欲しいだろう答えを返す。
千歳は、真面目なせいか頭を抱えてしまった。
「んんー……じゃ、氷河さんと話してみたかったってことで」
「ふーん……。雄利と何話してたの?」
奈々峰は、何故か俺に聞いてきた。
千歳に聞いた方が答えてくれるはずなのに。
「別に、なんだっていいだろ。」
「うん、どうでもいいけどさー」
奈々峰は荷物を足元に置いて、気怠そうに腕を伸ばす。
千歳がくすくすと笑いながら、奈々峰に話しかける。
「松里だって氷河さんの事気にしてたでしょ?」
「え?ああ、貴也が気になるっていうから」
八峰貴也。賞金稼ぎのリーダーだ。
実力は言うほどでもないが、人望に優れた男で、賞金稼ぎという組織は八峰のおかげで成り立っていると言えるだろう。
「じゃ、私お二人に飲み物買ってきますね!」
気を利かせたつもりか千歳がすぐに走って行ってしまった。
近くの自販機をスルーしたということは、あの子はしばらく帰ってこないつもりだ。
奈々峰は呆れたようにため息をついた。
「雄利ってば、あれでも優しさのつもりかなぁ」
「さぁな」
奈々峰が再び荷物を持ち上げる。
「いやね、敵に話すことなど何もないわけよ」
「それは同感だ」
「雄利は何か勘違いしてると思うんだけど、ライバル関係ってのもそう悪いもんではないのよね」
と、奈々峰が切り出した。
口調はだるそうではあるが、奈々峰は語る。
「貴也はあんたたちと取り合いしてる時が一番楽しそうにしてるんだよね。他の連中も躍起になるし、魔物なんてどうでもいい私も燃え上がっちゃうし。なんだろうね、あんたらには負けたくないのよ。分かる?」
「そりゃこっちだって同じだ。遅れて魔物狩りを始めた連中に後れを取るつもりはない」
「こういう負けたくないって気持ちが人の限界を引き上げるわけよ。私の限界は引き上げる必要ないけど……貴也にいろいろ任されんの嫌だし」
そういうが、彼女は賞金稼ぎの中では活躍している方だ。
もしかしたら、一番強いのかもしれない。
「でも、奈々峰が前線にいること多いよな?」
「それは、あの中じゃ私が一番強いから、なんだってさ。私はそんなつもりないんだけどなー。絶対貴也のが強いもん。」
それは謙遜なのか事実なのか。
八峰貴也の実力を知らないから何とも言えない。
なにしろ八峰は前線に出るが、周りに守られているせいで戦っているところを見たことがない。
たまたまそれを見たやつが、大したことねーよと言っているのだが、実際はどうなのだろう。
八峰貴也は実力を隠しているだけではないのか。
考え込んでいたせいか、奈々峰に顔を覗かれた。
「どうしたの?難しい顔して。」
「あ、いや、なんでもねぇよ」
目を逸らして、答えると奈々峰はそれ以上気にせずに戻った。
「……言っとくけど、貴也単体は弱いよ?」
「え?」
「貴也の強さはチームワークと人徳にあるんだよ。私はワンマンプレイで強いだけ。でも、そんなのはいつか破られちゃう、でしょ?」
「……ああ、なるほどな。」
「だから、私は弱いんだ。弱くていいんだけどさ、面倒だし。」
一通り語り終えると、奈々峰はぐったりと項垂れていた。
「喋りつかれた……聞き手になってんじゃないわよ……」
「お前が勝手にしゃべり始めたんだろうが!」
「うるさいわね、黙りなさいよ……」
「すっげぇむかつく」
「松里ー!氷河さーん!」
ちょうど言い合いになろうかと言うときに、千歳がペットボトルを手に走ってきた。
奈々峰は先に手を伸ばしていた。
それに合わせるように千歳もペットボトルを奈々峰に渡す。
その次に、俺にもペットボトルを差し出してくれた。
「はい、お礼です」
「俺、何もしてないけどな」
「荷物持ちのお礼、ってことにしておいてあげるわ」
恩着せがましく、奈々峰がぼそりと呟く。
買ってきたのは千歳だろうが。
ペットボトルを受け取り、歩き出す。
「じゃ、俺行くから」
「はい、ありがとうございましたー!」
「二度と私らのオフ邪魔すんじゃないわよー、めんどくさいからー」
後ろの二人からは全く対照的な言葉が返ってきた。
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