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友人に捧げた短編集。
今回は、ハーレムをテーマに書いてみました。
楠木菖蒲編。
今回は、ハーレムをテーマに書いてみました。
楠木菖蒲編。
※瀬戸氷河
記憶をなくした少女がいた。
覚えているのは、楠木菖蒲という名前だけで、人らしくない紅い目が特徴だった。
彼女は、記憶のない事など気にしないで気ままに動いていた。
彼女に巻き込まれた日は疲れ切っていたものだ。
記憶を取り戻さなければ、幸せでいられたはずなのに。
「っへーい!見つけたー!」
「うわっ!?」
背後から肩を叩かれた。
それにびっくりして、びくりと反応する。
「驚かすなよ、菖蒲!」
「ぼんやりしてる氷河が悪い!」
きひひ、とピースしながら笑う菖蒲。
呆れ果ててため息を吐く。
この子には何言っても聞かないからなぁ。
「だーって、そんなぼんやりしてたら、驚かしてもいいってことでしょ?」
「そういうわけにならねぇだろ……。」
「じゃー、私が驚かすの好きなんです!」
そうはっきり言われてもな。
俺からしたら迷惑なだけだっつの。
「もー、そんな呆れた顔しないでよー!」
「したくもなるだろ。察しろ」
「嫌だわ」
「じゃ、ため息だけでも吐かせろ」
「幸せが逃げちゃうよ?」
「誰のせいだ」
俺と菖蒲はこんなやり取りをよく繰り返していた。
恭二とならボケ倒し続きで止まらなくなるし、芳示となら菖蒲が叩かれて終わりだし、丙だとかみ合わない会話が続く。
消去方でやったら一番相性いいのは氷河と菖蒲じゃない?と誰かに言われたが、当事者である俺たちには全く分からないものだ。
「さて、今日は何して遊ぼうかしら?」
「頼むから、どっかともめるのだけはやめてくれ」
「もめない、もめない!いざとなったら、私が撃退してやるわよ!」
「だからそれが困るんだって!」
浮かれているのか、スキップしていく菖蒲を追いかける。
菖蒲は、実際に力が強い。
大の男を鉄パイプで殴り殺せるぐらいの力はある。
……これだと誰だって死ぬ気がするな。
菖蒲は護身用に何やら棒を持ってる。
それはひのきのぼう的な棒を長くしたような……なんつーんだろ、杖っぽいやつ。つーか杖。
それを利用して彼女は、自分を守りきってしまう。
まさに俺の立場がない。
俺だって暴れたいのに。
彼女は力のある魔族なのではないかとその時は思っていたものだ。
ふと菖蒲の方を見たら、俺を待っていたのか空を見て立ち止まっていた。
俺が追いつくと、菖蒲はぽつりと呟いた。
「記憶って戻った方がいいのかな……」
「はぁ?気にしないって言ったのは菖蒲だろ」
「だって昔ばっかり気にしてたら前に進めないでしょ。」
「そりゃ言えてるけど」
「だから、気にしないようにしよーとしてたんだけどさ……」
菖蒲の視線が、目の前の親子を追っていた。
ベンチで仲良く会話する親子。
あれをみて菖蒲が何を思い悩んだのだろうか。
「氷河は、どう思うの?」
「ん?」
「私にも、子供時代があったのだと思う?」
「当然だろ。菖蒲は何かのせいで記憶を失ってるだけだって」
「そっかー……。どう、してたんだろう」
「菖蒲らしくないだろ、そうやって悩むのは」
「失礼だね、氷河」
「気を使うのはもうとっくにやめたんだよ」
「優しくないなー……」
菖蒲が急に、よしっ、と声を出す。
「思い悩むのはやめるわ!さぁ、今日はパフェ食べるんだから!そう!今、決めた!」
「はぁ!?お前、金あんのかよ?」
「おごりでしょ」
「ふざけんな」
「だって、お金の使い道ないってこの前困ってたじゃない?」
「だからって、お前の為に使いたいとは一言も言ってない!」
いつもの調子の菖蒲に戻ったようだ。
簡単に吹っ切れられるのは彼女らしくて羨ましいとも思ったものだ。
俺はそう簡単に割り切れない。
今だって。
楠木菖蒲の正体は悪魔だった。
人を滅ぼす立場にある彼女が記憶がないのも当然だ。
悪魔である事を隠して、街に潜り込むように命令されたのだから。
そして、悪魔が蘇った日、菖蒲の記憶も蘇り俺たちに敵対した。
その後の事はあまり話したくはない。
最終的に俺が菖蒲を殺したのだから。
記憶をなくした少女がいた。
覚えているのは、楠木菖蒲という名前だけで、人らしくない紅い目が特徴だった。
彼女は、記憶のない事など気にしないで気ままに動いていた。
彼女に巻き込まれた日は疲れ切っていたものだ。
記憶を取り戻さなければ、幸せでいられたはずなのに。
「っへーい!見つけたー!」
「うわっ!?」
背後から肩を叩かれた。
それにびっくりして、びくりと反応する。
「驚かすなよ、菖蒲!」
「ぼんやりしてる氷河が悪い!」
きひひ、とピースしながら笑う菖蒲。
呆れ果ててため息を吐く。
この子には何言っても聞かないからなぁ。
「だーって、そんなぼんやりしてたら、驚かしてもいいってことでしょ?」
「そういうわけにならねぇだろ……。」
「じゃー、私が驚かすの好きなんです!」
そうはっきり言われてもな。
俺からしたら迷惑なだけだっつの。
「もー、そんな呆れた顔しないでよー!」
「したくもなるだろ。察しろ」
「嫌だわ」
「じゃ、ため息だけでも吐かせろ」
「幸せが逃げちゃうよ?」
「誰のせいだ」
俺と菖蒲はこんなやり取りをよく繰り返していた。
恭二とならボケ倒し続きで止まらなくなるし、芳示となら菖蒲が叩かれて終わりだし、丙だとかみ合わない会話が続く。
消去方でやったら一番相性いいのは氷河と菖蒲じゃない?と誰かに言われたが、当事者である俺たちには全く分からないものだ。
「さて、今日は何して遊ぼうかしら?」
「頼むから、どっかともめるのだけはやめてくれ」
「もめない、もめない!いざとなったら、私が撃退してやるわよ!」
「だからそれが困るんだって!」
浮かれているのか、スキップしていく菖蒲を追いかける。
菖蒲は、実際に力が強い。
大の男を鉄パイプで殴り殺せるぐらいの力はある。
……これだと誰だって死ぬ気がするな。
菖蒲は護身用に何やら棒を持ってる。
それはひのきのぼう的な棒を長くしたような……なんつーんだろ、杖っぽいやつ。つーか杖。
それを利用して彼女は、自分を守りきってしまう。
まさに俺の立場がない。
俺だって暴れたいのに。
彼女は力のある魔族なのではないかとその時は思っていたものだ。
ふと菖蒲の方を見たら、俺を待っていたのか空を見て立ち止まっていた。
俺が追いつくと、菖蒲はぽつりと呟いた。
「記憶って戻った方がいいのかな……」
「はぁ?気にしないって言ったのは菖蒲だろ」
「だって昔ばっかり気にしてたら前に進めないでしょ。」
「そりゃ言えてるけど」
「だから、気にしないようにしよーとしてたんだけどさ……」
菖蒲の視線が、目の前の親子を追っていた。
ベンチで仲良く会話する親子。
あれをみて菖蒲が何を思い悩んだのだろうか。
「氷河は、どう思うの?」
「ん?」
「私にも、子供時代があったのだと思う?」
「当然だろ。菖蒲は何かのせいで記憶を失ってるだけだって」
「そっかー……。どう、してたんだろう」
「菖蒲らしくないだろ、そうやって悩むのは」
「失礼だね、氷河」
「気を使うのはもうとっくにやめたんだよ」
「優しくないなー……」
菖蒲が急に、よしっ、と声を出す。
「思い悩むのはやめるわ!さぁ、今日はパフェ食べるんだから!そう!今、決めた!」
「はぁ!?お前、金あんのかよ?」
「おごりでしょ」
「ふざけんな」
「だって、お金の使い道ないってこの前困ってたじゃない?」
「だからって、お前の為に使いたいとは一言も言ってない!」
いつもの調子の菖蒲に戻ったようだ。
簡単に吹っ切れられるのは彼女らしくて羨ましいとも思ったものだ。
俺はそう簡単に割り切れない。
今だって。
楠木菖蒲の正体は悪魔だった。
人を滅ぼす立場にある彼女が記憶がないのも当然だ。
悪魔である事を隠して、街に潜り込むように命令されたのだから。
そして、悪魔が蘇った日、菖蒲の記憶も蘇り俺たちに敵対した。
その後の事はあまり話したくはない。
最終的に俺が菖蒲を殺したのだから。
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