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友人に捧げた短編集。
今回は、ハーレムをテーマに書いてみました。

ミユキ編。

※瀬戸氷河
街でのんびりするのも終え、本部に戻るとラウンジにはミユキがいた。
人間が魔術を求める組織、魔術結社にて作られた魔術師がミユキだ。
当然、記憶もないし、人形のように扱われてきたせいで感情も乏しい。
現在、彼女は魔術結社との関連はない。
たまに本部に来ては、お茶を飲んで帰る。
今日もそんな感じでミユキはお茶を飲んでいた。
「あ、氷河だわ」
「いたのか、ミユキ」
「ええ。今日は遊びに来たのよ」
「いつもの事だろ。」
「ついでに属性も貰いに来たの」
ミユキがお茶を置いて立ち上がり、俺の手を取る。
ミユキには人の属性を吸収する力がある。
魔術的な話は詳しい方ではないが、人は誰しも潜在的に属性を秘めているんだそうだ。
ミユキはそれを吸収することで魔術を扱う事が出来る。
言ってしまえば、ミユキは空の器だ。
「うふふふ、光属性はレアものー」
「そりゃー……そうだろうな……」
手を離し、ミユキが無感情に笑う。
吸収された方は少し立ちくらみがする。
潜在的なものでも、それは人間の体力だからだろう。
いや、潜在的だから体力じゃなくて精力を吸収しているとでも言うのだろうか。
俺が、分かってないな。
「大丈夫?」
「ちょっと、待ってろ……」
先ほどミユキがいたテーブルに手をつき、呼吸を落ち着けようとする。
ミユキは不思議そうに首をかしげる。
「私、今日はコントロールしたつもりなのに」
「どういう風に……?」
「吸いすぎないように、私の欲しい分だけ、欲しかったの」
「ミユキには、まだ……難しいんじゃねぇのか?」
ミユキは、自分が魔術師だと自覚してから日が浅い。
魔力を奪う事も最近始めたばかりで、慣れてないのだ。
「でも、いちいちみんなに迷惑かけたくないわ」
「ミユキ……」
「ねぇ、何か飲み物を用意してみるわ。何か欲しいのはない?」
用意してみる、だもんなぁ……。
ミユキはずっと閉じ込められ続けていたせいか、普通に生活する上で必要な事も知らない。
最低限の事は来鈴さんが全て教えてあげたが、まだ人間らしさはない。
「じゃ、頼む。言っとくけど、変な事はするなよ」
「言われた通りにすればいいのでしょう?大丈夫よ氷河」
ふわふわとした足取りでミユキは、食堂の方へ向かっていった。
やっぱ心配だな……。
立ちくらみは収まってきたので、椅子に座る。
意外にも早くミユキは戻ってきた。
缶コーヒーを手に。
買ってきただけじゃねぇか。金持ってたんだな、ミユキ。
「ほら、失敗なんかしなかったでしょう」
「自慢げに言うなよ……」
表情には全くでないが、ドヤ顔をしている気がする。
それを受け取って気付いた。
「お前、よく俺がこれ好きだって分かったな」
「ええ、聞きました」
「普通の回答だ」
誰に聞いたのかまでは聞かないでおこう。
買ってこれただけでも上出来だろ。
「俺も心配しすぎだったのかも」
「私に対して心配なんていらないのよ」
「その言葉を信じられないから、気にしてんだよ」
「大丈夫よ」
ミユキが真剣な表情で答える。
「私は氷河の為に頑張っているのだから」
もうミユキは人形じゃなくなっていた。
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