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自業自得のお話。


・ケージインラブの魔術師
※瀬戸氷河
「うきょう……?」
「おお、その焦点あわなくて不思議そうに俺を見る氷河がそそる。」
俺のとなりには、妖怪化した雨境がいた。
見間違いじゃない。
「ど、して……ここが……?」
「微弱だけど魔術の反応があったんだよ。こっちだって探すの苦労したんだから。でも、本部の情報網なめちゃいけないよ。」
答えたのは、津川さんだった。
その隣には才臥もいた。
「氷河、もう動かないでね。あとは俺たちが何とかするから。」
雨境と才臥がそれぞれ独特の構えをとる。
あの魔術師はまだ死んじゃいない。
起き上がり、またナイフを宙に浮かべている。
「僕の、僕の思い人に何をするつもり……?」
「だから、てめぇのもんじゃねぇって……何度も言っただろ……ッ!」
起き上がろうとしたが、津川さんに止められた。
「なーるほど、氷河は愛されてたんだな」
「そりゃそうでしょ。あいつらだって、俺だって、氷河好きなんだから。」
「へー、そーなんだ」
奴がナイフをこちらに投げると同時に二人も動いた。
「津川、俺の銃を……」
「あの魔術師は、氷河にとって許せない人なんだね。無理してほしくないけど……分かった。」
津川さんは、俺のハンドガンを渡してくれた。
痛みを耐えて体だけ起こし、照準をあわせる。
「魔術師ッ!」
「なんだい?」
心臓を狙って銃弾を撃つ。
魔術師が俺の声に反応した瞬間を狙って撃った。
「ひどいなぁ……裏切りかい?」
「ほんとは……殴りてぇけど……っ、これで勘弁してやる……よ……」
「氷河!?」
また倒れこんでしまった。
「あははははっ、裏切られちゃってまーかわいそっ」
「そんなの終わりにしてやるよ?」
才臥が魔術師の首を跳ねた。
敵はいなくなった。
安堵して二人が俺のそばに寄る。
「氷河、もう大丈夫だよ。さぁ、この雨境さまに感謝しろ」
「あとで……な。」
「え、マジで?キスとか抱いたりしていいの?」
「……キス、までだ」
「自分の美貌の使い方、ちょっと覚えたのかね」
雨境が、にやにやと笑う。
なぜだか才臥にちょーしのんなって!と叩かれていた。
「氷河、大丈夫?まず、ナイフ抜かないと……」
「あ、俺抜くよ!」
と、才臥が手をあげた。
津川さんは、信用ならないなぁ、とため息をついた。
「いい、慎重にやってよ?」
「わーってるって!氷河、痛いと思うけど、耐えてくれよ?」
「……頼む」
才臥がまず一本ナイフを抜く。
「ぐ、ぁ……っ……!」
「ちょっと才臥!」
「これでもゆっくり抜いたんだって!ごめんな、氷河、俺を恨むなよー……」
それから、二本、三本と俺の背からナイフを抜く。
一本抜かれるたびに痛みから呻き声が出てしまう。
最後の一本を抜いたと才臥が言った時、みんなで安堵して一息ついた。
「はぁ、よかった……。とりあえず安心かな」
「ありがと、な……お前らが来てくれて、正直嬉しかった……。」
礼を言うと、津川さんと雨境が顔を赤くする。
なんの気もない才臥が聞く。
「なぁ氷河、痛いだけならもうちょいピンピンしてるだろ?なんでまだ苦しそうなんだ?」
「あぁ……逃げるときに、丙から借りた毒針を利用したんだ。」
「まさか、自分に刺したんじゃ……」
津川さんが恐る恐る聞いてきたが、正直に答えた。
「そう、だけど。」
「だよね。氷河は無茶するやつだよね。」
津川さんが俺の荷物があった場所を漁り始めた。
そして、俺のスマートフォンを持ってきた。
なんかいじったあとに、それを耳に当てる。
「氷河、この事件は氷河のしたことのせいで大事になるんだからね」
津川さんが、怒っている。
明らかに不機嫌なトーンで言われた。
『氷河さん?』
「……もしもし、茅野さん?」
『どちら様ですか?』
「えっと、そんなことより落ち着いて聞いてほしいんだけど、今、氷河が死にそうなんだ。助けてくれるかな?」
『……状態を聞かせてください』
「えっと、背をナイフで数ヶ所刺されて、神経毒で苦しんでる。」
『分かりました。宿の部屋を用意しますので、後にメールで指定する部屋へ氷河さんを運んでください。安静にさせてくださいね。』
「ありがとう、茅野さん」
『いえ、こちらこそ。どなたか存じませんが、ありがとう。氷河さんには死んでほしくないから……』
津川さんが電話を切った。
「おい、なんで茅野に相談してんだよ!?」
「俺らの唯一の治癒術師が、そんな状態だからだよ!さ、雨境に才臥、手伝って!」
「はいはーい。背中の傷ヤバイからおぶったほうがいいかな?」
雨境が、俺の体をたたせて背負う。
「そうだな。氷河に気を使うのが一番。」

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次で最後。



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