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ファンタジーノイズワールドの一話です。

俺が通う加茂倭学園。
この学校には、電波質と呼ばれる人間がいる。
電波質とは、この学園特有のどこかズレた人間。
あまり数はいない。1クラスに2人いるかいないかの存在だ。
何故電波質が存在するのか、この学園にしかいられないのか。
それは学園側の秘密らしいのだが、俺には関係のないことだ。
と言いたいが、俺には言えなかった。
何故ならとっくに俺は電波質の人間に絡まれているからだ。

退屈な授業が終わり、昼休みになる。
俺が教科書とかまとめていると、後ろから肩を叩かれた。
「幽夜、ご存知ですか?人通りのない場所には何かの呪いがかかっていることを。」
「いきなりなんだ…」
突然変なことを言い出す女、光宮波乃。
彼女は電波質の人間だ。
「冷たいですね~。あるかもしれないじゃないですか。」
「あるかも…ってわかんねぇのかよ。」
突然、波乃は電波を受信したかのように根拠のないことを言う。
それはしょっちゅうなんだがな。
「そうでなくとも、人通りのない場所は素敵です!さぁ、行きましょう!」
「あっ、おい…!」
俺は波乃に手を取られ、教室を出て行かされた。
このあまりに突然な行動も電波質だからだ。

そうして連れて行かれたのは、使われない教室の廊下。
使われている教室から、離れていて昼休みの雑踏があまり聞こえない場所だった。
俺と波乃は廊下に座り込んだ。
「ふぇ…やっぱり人通りの少ない場所というのはいいものですね。」
「悪くねぇけどさ…よく見つけたな」
すごいでしょー、と自慢気に笑う波乃。
走ってきたので、息を切らせながら大してすごくない、と言ってやった。
波乃はがっくりと凹んだ。
「ひどいですー。冷たいです、幽夜。」
「当たり前だ。不本意で来たんだからな…」
「そうですかー。でも、涼しくていいですよね。」
さらに彼女を凹ませようと悪戯に言う。
だが、波乃に話をそらされた。
言いたい事だけ言って、こちらの話なんか聞いてくれない。
それが彼女であり、電波質だった。

「ここは、依里阿が教えてくれたんですよ。」
「依里阿…まさか識数依里阿か?」
「あ、はい。古くからの友人です。」
識数依里阿。
電波質のオリジナルともいうべき存在である。
彼女は光宮波乃や数名の人間を電波質に変えてしまったらしい。
どうやって変わったのか、までは知られていないが、識数依里阿という名は学校中に知られていた。
波乃は二番目の電波質と呼ばれている。
それは、識数依里阿の唯一の友人が波乃であったからだ。

「波乃、あれがどんな奴だか…」
言いかけた所でチャイムが鳴る。
波乃は立ち上がり、俺に手を差し出す。
「あ、もうこんな時間。戻りましょう。幽夜。」
「ああ……」
俺は波乃の手を借りずに立ち上がり、波乃と教室へ戻った。

何故か光宮波乃に付き纏われてから、もう一年になる。
電波質となった彼女に出会ってから、徐々に俺の世界が無くなっていく気がしていた。

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