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蕀の森の眠り姫。

・エンドスリープの魔術師
※大浦丙
これ以上、この馬鹿共の好きにさせるわけにはいかない。
決意した俺は、糸を伸ばす。
「皆、出てって」
「え?」
聞こえなかったのだろうか。
今度は糸を張り巡らせながら、言う。
「いいから、出てって」
「「うわああああああああ!?」」
糸の切れ味を知っている彼らは、慌てて部屋を出る。
皆が出ていったすぐ後に、糸を巡らせ誰も近づけないように罠を張った。
「あれじゃ、いばらの森だよ……」
「ほんとに、いばらの森の眠り姫になっちまったな……」
津川と雨境さんが、呟く。
氷河の眠るベッドに軽く座り、ドアの向こうの彼らに言った。
「ちゃんとした手がかりが見つかるまで、氷河に近づかないで」
「俺も!?」
「恭二も」
恭二がなんでだよー、と落ち込む。
「皆で氷河をおもちゃにするからだよ」
俺は毒針を構える。
「ほら、さっさと手がかり探せ!」
全員、逃げるように解散してくれた。
二人きりになった部屋で改めて氷河を見る。
眼鏡が外され、よりいっそう美人に見える。
彼が目を開くとうっすら青色の混ざる黒い瞳が見えるんだけどな。
近付くと小さな寝息が聞こえる。
これが恭二が死んでいないと言った証拠だろうか。
「大丈夫だよ、氷河。」
絶対に守ってあげるから。

俺も眠りにつこうとすると、俺を呼ぶ声がした。
ドアの向こうに吾野さんがいる。
「そいつを起こす提案なんだけどさ、三奈美ちゃんを使うってのはどーよ?」
「三奈美……って、茅野か」
教会の聖女である彼女なら、魔術的なものも解いてくれるかもしれない。
「そうそう。俺、元騎士団だし、すぐに呼んでこられるぜ?」
「では、お願いします」
「任せときな」
ふと、吾野さんがにやりと悪い笑みをしたように見えた。
でも、茅野を呼んでくるだけだし、トラブルはないだろう。
「氷河は、茅野のことが好き、なのかな」
思い返してふと呟く。
氷河は茅野のことをすごく心配する。
それはなんだか片想いをしてる男のように。
恭二のことを気がおかしい程好きっていうくせに、茅野にも思わせ振りな態度をとっているのだ。
同じ神血だから、というにも氷河はどこか過剰に茅野を気にかけている。
そこはよく分からないんだけど、俺は二人は似合ってると思う。
悔しいけど、俺以上に。
俺はやっぱり氷河には友達としか見られてないから。
「嫌だな……嫉妬してんのかな」
氷河の髪に触れる。
男にしては綺麗でさらさらしてる。
ちょっと跳ねてても、氷河らしいってことだし。
吾野さんが茅野を連れてきたのは、30分後のことだった。

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病んでる丙。




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